いつもと同じように目覚ましの音で目が覚める。
樹里は、布団から出ている顔の鼻先に寒さを感じた。
このまま、こうしていたらきっともう一度深い眠りに落ちてしまうだろう。
樹里は、眠気を振り払って身体を起こした。
…
「樹里、今日も早いですね。」
顔を洗っていると後ろから雪に声をかけられた。
「はい、今日も旦那様に気持ち良く過ごして頂けるようにしないとですから。」
そう言って、雪ににこっとほほ笑んだ。
「はぁ~樹里はこんなに頑張っているのに、うちのこももときたら…」
ため息まじりこももの愚痴をこぼす雪はなんだか子供らしさに欠ける。
くすくすと笑いながら、朝のささやかな会話を終わらせると、急いで着替えを済ませて楓の部屋へと向かった。
トントン
ノックをして、楓の部屋へ入るベッドへと向かう。
「旦那様、旦那様、朝です、起きて下さい。」
その声に楓が、うっすらと目を開ける。
そして、その瞳はすぐに樹里を捕らえた。
「樹里…おはよう。」
ゆっくりと楓の手が樹里を抱き寄せ、唇にキスをする。
「んっ…ちゅっ…。」
樹里は顔を赤らめて目を閉じる。
「旦那様…お時間が…。」
ずっとキスしていたい気持ちを押し殺して、楓に時を知らせる。
「ああ…すまない、今日は急ぎの会議が入っていたな。」
楓も渋々と言った感じで、樹里わ離すと支度を始めた。
「今日は、お帰りは遅くなりますか?」
「そうだな、急いで帰るつもりだが、間に合わなかったらすまん。」
(間に合わなかったら?)
樹里はその言葉が気になった。
(今日は何かあったかな?)
支度を手伝いながら、考えたが思い当たる節がない。
「旦那様、今日はなっ…」
「あっ…」
楓に直接聞こうと思ったが、楓が何かを思い出したように慌てて書類を探りはじめたので、声をかけるのを諦めてしまった。
「じゃあ、行ってくる。」
そのまま楓は慌てて仕事に行ってしまった。
(結局なんだか聞けなかったなぁ…大切な用だったらどうしよう…。)
樹里は、少し不安なまま仕事へ戻った。
…
洗濯をしていても、掃除をしていても、楓の言ったことが頭の中を駆け巡り、集中できない…。
そんな事だから、手元が狂って花瓶の水を溢してしまった。
「ああっ…どうしようっ。」
それを見ていた灯が堪らず樹里に声をかけた。
「樹里?大丈夫ですか?なんだか今日はぼーっとしてますよ。」
「すみません…。灯さん今日ってなにか特別な御用ってありましたっけ?」
灯に聞いてみたが、灯も思い当たることがなかった。
「樹里は、考えすぎですよ、樹里が覚えていないんですからきっと、何もないですよ。」
樹里の真面目な仕事ぶりをしっている灯は樹里がそんな簡単なミスをするとは思えなかったのだ。
「そうですよね…ありがとう。」
灯に話を聞いてもらえた事で気が楽になった樹里は、楓の言葉を忘れて、いつものように仕事に取り掛かった。
「さて、これでよしっと!」
額に腕を擦りつけて汗を拭いながら樹里が呟いた。
仕事を終えて、一段落ついたようだ。
あとは、楓の帰宅を待つばかりとなった。
…
しかし、いつもの時間を過ぎても、楓は帰ってこなかった。
仕事が長引いているのだろう。
「今日はやっぱり遅いみたいだなぁ~。」
仕事がある日は、ほとんど楓と一緒にいられない、夜のつかの間の二人の時間が樹里には大切なひと時だった。
それから、どれくらい時間がったのか、樹里はいつの間にか眠ってしまっていた。
ボーン、ボーン…
「んんっ…むにゃっ…」
時計の音で目が覚める。
「あれ…私眠って…もう、こんな時間だ。」
時計に目をやると、針が12を刺している。
深夜を回ったところだ。
(旦那様…今日はもう帰ってこないのかな…。)
しょんぼりと肩を落として部屋を出ようと歩き出す。
ドアノブに手をかけようとした時、勢いよく扉が開いた。
「樹里っ!」
楓が息を切らせて飛び込んできたのだ。
「旦那様!どうなさったんですか?」
「すっ…すまない、間に合わなくて…はぁ…はぁ…急いだんだが…。」
こんなに、必死な旦那様を見たのは初めてだった。
何を謝っているのかわからないが、こんな姿を見せられて許さない訳がない。
「旦那様、頭を上げてください、何を謝っているのか、私にはわかりかねますが、私は怒ってなどおりませんよ。」
その言葉を聞いた楓が驚いたような、不思議な表情を見せると同時に笑い始めた。
「くくっ…あはははっ…樹里、今日は、お前の誕生日だろ?忘れてたのか?」
「えっ…私の?あっ…ホントだ…。」
言われるまで、すっかり忘れていた。
だから、旦那様は今朝あんなことを言っていたのか…。
すべてが理解できて、恥ずかしさが込み上げてくる。
「すみません、私忘れてて…あの…その…。」
「忘れててくれて、ちょっとほっとした、樹里か悲しんでいたらどうしようかと思っていたから、遅くなってすまなかった…。樹里、誕生日おめでとう。」
楓は、あたふたしている樹里の頬に両手でそっと触れた。
楓の暖かい視線が樹里に降り注ぐ。
(旦那様…旦那様はずっと私のことを思っていて下さって…こんなに必死に…嬉しい…。)
樹里の瞳から涙が溢れ出ていた。
「樹里っ!やはり怒っているのか?すなまなかった。」
樹里の涙を大きな手でふき取りながら、声をかけてくる楓の顔の方が泣き顔に見えるくらい悲しそうな顔をしていた。
「旦那様…っわたし…私…嬉しいんです、旦那様が私のことをこんなにも…」
「愛してるよ。」
樹里が言い終わる前に楓が言う。
「旦那様…。」
そのまま、瞼を閉じると楓の暖かい唇の感触が伝わってきた。
潤んだ瞳を開けると、目の前に小さな箱が差し出されていた。
「これは…?」
「プレゼントだ、もう、だいぶ前に買っておいたんだが、受け取ってくれるか?」
「もちろんです!ありがとうございます。」
プレゼントを受け取る樹里の顔に笑顔がこぼれる。
「気にいるかどうかわからんが、あけてみてくれ。」
「はい、気に入るにきまっています、旦那様からのプレゼントなんですから。」
箱の上の可愛らしいリボンを解き、箱を開けるとまた箱が入っていた。
今度の箱はベロアの様なふさふさした生地が張られた上品な箱だった。
その箱を開けると…
「これ…。」
それは、見覚えのある指輪だった。
(そうだ、これ、旦那様と一緒にショッピングに出かけた時に…)
その指輪は、前に一緒に出かけた時に楓が樹里の為に選んだ品だった。
ピンク色の宝石がついた可愛らしい指輪だ。
「あの時に買っておいたんだ、樹里は、いらないといっていたが、やはりこれは樹里に似合うと思ってな。」
「旦那様…嬉しいです、本当に…私…こんな素敵なもの…。」
涙がまた溢れてくる。
「じゅっ樹里…もう泣くな。」
優しく涙を拭い、指輪を取り出すと、樹里の手を取る。
「受け取ってくれるな?」
「はい。」
楓が樹里の左手の薬指にすっと、指輪をはめた。
指輪は樹里の指にぴったりだった。
指輪をはめ終わると、また、見つめ合う二人。
「よく似合っている。」
「はい…。」
「樹里…お前は俺のものだ。」
「はい…。」
改めて楓のモノと言われると心臓が高鳴り、背筋がぞくぞくするような感覚がした。
「この指輪に誓って…私は一生、旦那様の所有物です。永遠におそばに居させてください。」
「当たり前だ。」
そして、また唇を奪われた。
「んふっ…あっ…ちゅぷっ…。」
今度のキスはさっきのキスとは違って激しく熱いものだった。
キスをしながら抱きかかえられて、ベッドへと傾れ込む。
「ああっ…んっ…ちゅっ…ちゅっ…。」
息継ぎもできないくらい激しいキス…。
楓の熱い手が樹里の服を脱がし、肌に触れる。
「あんっ…ふぅ…っ…んんっ…ぁっ…。」
ゆっくりと、時間をかけて、樹里を味わうように脱がしては触れ、脱がしては触れを繰り返す。
二人が一糸まとわぬ姿になる頃には、樹里はとろとろになっていた。
「旦那様…ああっ…気持ちいいです…あんっ…。」
「樹里…愛している…俺の…モノだ…ぜんぶっ…ぜんぶっ…。」
樹里の身体を隅々まで愛撫しつくす。
小さく桃色の乳首、震えるおちんちんも可愛らしい後ろの蕾も腕も太股も背中もつま先でさえも…全てが愛されていた。
「ああっ…ああんっ…凄い…あっ…そんなところまで…っああっ…ああん…。」
喘ぎ、悶える続ける樹里を見て、楓はとても満足そうに笑った。
「良いのか?俺にこんなことされて、感じているのか?」
「は…っい…あっ…感じて…凄い…っ感じすぎて…狂ってしまいそっ…ですぅ…ああんっあんあんっ…んんっ…。」
樹里のアナルに入りこんでいる指が増やされる。
「あああっ…ひっ…ああぁぁっんん…っ。」
ぐちゅっと卑猥な音を立てて美味しそうに指を飲み込んでゆく。
ぐりぐりと奥を刺激され、広げられると堪らなく切ない声を上げた。
「あぅんっ…はふっ…ああっ…旦那様…っ下さいっ…もう一つっ…プレゼントっ…あんっ…旦那様の…あああっ…我慢できないっ…。」
「ふふっ…何が欲しいのか、言ってみなさい…。」
「あっ…だっ…旦那様の…お…ちんちん…私の…アナルに…欲しいですぅっ…。」
その言葉を言い放つ樹里の顔を見て楓は、何とも言えない感情が込み上げてくる。
お互いに我慢の限界を迎えた瞬間、楓の反り立つおちんちんが樹里の穴に突き刺さった。
「あぁぁぁぁぁっ…いいっぁぁぁぁあっん…っあぁぁっ…。」
ぐぽぐぽぐぽぐぽぐぽっ…
高速のピストンが始まる。
「あっっ…あっあっあ…いっちゃあっ…いきなりっ…そんなにっああっ…突かれたら…ああっいい…いっくぅ…。」
樹里に覆いかぶさる様に抱きしめ、腰を振り続けた。
「ああっ…だめですぅっ…いっちゃぁ…ああっ…でるっ…ああっいくっいくっ…いくいくいくぅぅぅぅぅぅぅっ…。」
びゅっびゅくっ…
白い精液が飛び出し樹里の腹を汚す。
「いったのかっ…?すまないが…もう少し我慢してくれ…くっ…。」
樹里の締め付けに耐えながら、楓は腰を振り続ける。
パンパンパンパンパン…
「あうっ…まって…ああっ…そんな…いってる…のにぃ…ああああっ…」
いっている間も突かれまくって、樹里のおちんちんからはとろとろと白い液体が流れ続ける。
「うっ…しまるっ…中がっ…熱っ…動く…うっ…はぁはぁ…。」
いきっぱなしの樹里肉壁が波打ち楓のおちんちんを高ぶらせる。
「ああっあああっ…らめぇ~またっいってるぁぁぁ…なにこれぇぇぇっ…」
苦しいのか、気持ちが良いのかわからない、それなのに、もっと楓を求めてしまう樹里がいた。
「旦那様ぁぁぁぁ…我慢なんかしてないれすぅぅっ…わたしっ…もっとほしい…ついてぇ~旦那様のでもっととぉずぼずぼしてぇぇぇぇぇぇぇぇっ…。」
樹里の叫びに楓は、ますますおちんちんを大きくして答えた。
「もっ…おれもいくぞっ…はぁ…だすぞ…樹里の中にっ…たくさん出してやるから…俺の子を孕め…。」
「はいぃっ…孕みますぅ~旦那様のっ…子っあっん…子種くらはぃぃっ…あぅっ…くらはいぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ…。」
呂律の回らない喘ぎ声を上げながら、樹里はまた射精した。
びゅくっびゅくっ…
どくどく…どぴゅりっ…
同時に楓も樹里の中に濃い子種を注ぎ込んだ。
…
「旦那様…。」
腕の中の樹里がぽつりと呟いた。
「なんだ?」
「私…来年の誕生日は…。」
「ん?なにか欲しいものでもあるのか?」
樹里が恥ずかしそうに頷く。
「何が欲しい?お前が望むならなんでも与えるぞ。」
「私…旦那様との赤ちゃんが欲しい…です。」
「なっ…!」
耳まで真っ赤にしている樹里を見ると、胸が熱くなる。
男同士は子供が出来ないなんて、口が裂けても言えない。
「わかった。」
それを聞いた樹里は嬉しそうにすり寄ってくる。
(科学者でも雇って研究でもさせるか…。)
本気でそう思い始めそうになる楓だったが、今はこの幸せを味わうことにした。
終
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