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少年シロップ
ここは、成人向け、オリジナル小説、イラストブログです。 BLやショタ要素が多くに含まれます。18歳未満観覧禁止です。
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おもちゃで遊ぼ
みんなが寝静まった夜…。

悠里の部屋の扉からうっすらと明かりがもれている…。

「ああ…今日も要様カッコ良かったなぁ…。」

悠里は、ベッドにうつ伏せになり、顔をシーツに埋め、今日の要を思い出す。

そして、布団を抱きしめて、要の温もりを思い出す。

もぞもぞと布団に体をすりつけていたらだんだんと、変な気分になっていった。

「あっ…あんなにいっぱいしてもらったのに…。」

そっと、下半身に手をやると、小さなふくらみができていた…。

パジャマの上からそっと撫ででみる。

「んんっ…はぁ…はぁ…。」

どんどん気持よくなって、息が荒くなってゆく。

堪え性のない悠里は、するすると、ズボンを脱いでぴんと起った自分のおちんちんをいじり始める。

もじもじと、蒲団を抱きしめながら、おちんちんをくちゅくちゅといじっている。

「はぁはぁん…要さまぁ…」

ぷるぷると震えるおちんちんの先っちょが布団にこすれた…。

思いがけない刺激に、悠里は声をあげる。

「きゃっううんんんっ…はぁ…はぁ…いっ今の…凄い…きもちいぃ…。」

快楽に貪欲な悠里は夢中で布団におちんちんをこすりつけはじめた。

布団を握りしめて、かくかくと腰を振り続ける…。

ふわふわとした優しい刺激にもっと、もっと、と腰を激しく振る。

「あふん…ぁぁん…これじゃ…あんっ…たりなっ…あぁ…。」

緩く気持ちのいい刺激が続くが、なにか足りない…。

(もっと…もっと…。)

辺りを見回すと、枕の下から顔をのぞかせるモノに目が奪われた。

「ああっ…これっ…これ欲しい。」

それは、要のペニスを模った大人のおもちゃだった。

すぐさま、口に頬張ると、十分な潤いを与え自分のアナルに加え込んだ。

「うぁぁぁぁっんんっあふぅ…。」

堪らない刺激が内側から与えられる。

「これっ…ああっ…これが欲しかったのぉぉぉっ。」

ぐぽぐぽと厭らしい音を立てて要型のおちんちんを出し入れする。

おもちゃのスイッチを入れると、激しくくねり、振動し始めた。

「うぁぁっあひっあひぃぃっ…。」

涎を垂れ流して、アナルの刺激を味わう。

要に教え込まれた快楽…。

もう、いくことしか考えられない…。

お尻をおもちゃに犯されながら、布団を抱きしめ狂ったように腰を振った。

「あっあっあっあぁぁぁぁっ…気持ちいいぃぃ…はぁはぁ…。」

ヴィィン…ヴィィン…
グチョ…ヌチャ…

機械の音と濡れた水音が混じり合う。

「あっうぁっ…はぁんっお尻…すごっ…いっちゃ…はぁはぁ…うぅ…。」

お尻の中を激しく暴れ回るおもちゃが、悠里の良いところに当たりはじめる。

「もっ…だめ…出ちゃう…でちゃうよぉぉ~。」

お尻の穴がひくひくと収縮して無機質なおもちゃを締め上げる。

湿った布団におちんちんを擦り付けながら要の名前を叫んだ…。

「ひぃぃっ…あぁっいく…いくぅ…かっ…かなめしゃまぁぁぁぁぁぁ!!」

おちんちんから少量の水っぽい透明な液体がぴゅるっと飛び出した。

「はぁはぁはぁはぁ……流石にもうでないよね…はぁはぁはぁ…。」

ぐったりと横たわる悠里のお尻で動きつづけるおもちゃがズルリと穴からこぼれ落ちた…。



[2012/05/18 22:34] | 小説・楓・樹里 | トラックバック(0) | コメント(0) |
一人の疼き
「ああっ…もっと…。」

樹里は、足を大きく開いて、自身の手で、おちんちんをくちゅくちゅと扱いていた。

楓の事を思い、一人ベッドの上で喘いでいる。

「んんっ…気持ちい…。」

(旦那様の手…旦那様の唇…旦那様の…。)

すべてが樹里を興奮させる…。

赤く熟れた乳首を片手でつまみ上げると、扱く手がだんだんと早まり、後孔がひくひくする。

「あうんんん…いっちゃう…。」

楓のキスを思い出したように、舌を出し、絡めるように動かす。

(旦那様の舌が恋しい…。)

太ももが震え…射精が近づいている事を知らせる。

「かっ…あうっ…かえ…で…様…、いくうぅぅぅ…。」

樹里のおちんちんから、ひゅるっと白い液が飛び出た。

はぁはぁと、肩で息をする。


(旦那様…。)

こうして、夜は更けていく…




[2012/05/18 20:55] | 小説・楓・樹里 | トラックバック(0) | コメント(0) |
初夜
二人がお互いの胸の内を確認しあってから数週間が過ぎた。

「旦那様~旦那様~。」

コンコンッ

樹里が、楓の書斎のドアをあける。

「旦那様、お客様がいらっしゃっていますが、お通ししてもよろしいですか?」

「ああ…。」

相変わらず、言葉数は少なかったが、その表情は、樹里を見て、微笑んでいた。

樹里は言われたとおりに、お客様を部屋へとお通しすた。

だが、樹里には一つ気がかりなことがあった。

ここ数日、毎日と言っていいほど楓に会いに来るこの客である。

その客はとても、美しい女性だった。

楓は、滅多に人を屋敷に招かない。

その客とどんな関係なのかも、どんな用事で来ているのかも、樹里にはわからなかった。

「どうぞ、こちらです。」

胸の中のもやもやを押し込めながら、女性を案内する。

楓の部屋のドアが閉まる様を樹里はそっと見つめていた。



日も暮れた頃女性は楓に見送られて帰って行った。

(良かった…。)

ほっとしたのもつかの間、美しい二人が並んだ姿を思い出す…。

二人の並んだ姿はとてもお似合いで、羨ましく思った。

(私がせめて女だったら…でも…)

樹里の心の中のもやもやが、どんどん大きくなっていく。

はじめは小さな胸の痛みだったのに…

そして、樹里の中の不安が日に日に大きくなっていった…。

樹里が熱を出して倒れた日以来、楓は樹里をとても優しかった。

(でも…旦那様は、私に触れようとしない…あの日のように激しく私の唇を奪って欲しい…優しく抱きしめて欲しい…)

樹里の卑しい思いばかりが膨らんでいく気がした。

(やっぱり、旦那様は私のことなんて…)

そんなことばかり考えてしまう。

胸が締め付けられる…

樹里の瞳からじわりと溢れた涙が一筋頬を伝った…。



今日も、あの女性が屋敷を訪ねてきた。

楓の部屋の場所を覚えた女性は樹里の案内など無視してどんどん進んで行ってしまう。

楓の部屋に入ると早々とドアを閉めてしまった。

「旦那さま…。」



夜になって、楓が女性を見送って部屋に戻ってきた。

樹里は不安な気持ちを悟られまいと、精一杯の笑顔で向かえる。

「…どうした?。」

「えっ!」

「浮かない顔をしている…悩み事でもあるのか?」

樹里が、自分に気づかれないように頑張っていたことに楓は気づいていた。

「いえ…なんでもないんです。」

涙が溢れそうになるのを抑えながら、ふいっと後ろを向いてそれを悟られないようにした。

しーんと静まりかえる部屋…。

楓が近づいてくるのがわかった…。

震える樹里の身体を後ろからそっと抱きしめる。

大きな楓の腕に包まれて我慢していた気持ちが責を切ったように溢れ出す。

「私…わた…し…怖くて…。」

「怖い?」

「旦那様に捨てられてしまうんじゃないかって…ぐすっ…」

涙が楓の手にこぼれる。

「樹里…泣いているのか…?」

「よく、おいでになる女性っ…旦那さまと、とても親しそうだったから…私…不安で…。」

私の胸の内をさらけ出す。

「樹里…そんな事を気にしていたのか…。」

「申し訳ございません…私…。」

楓の手が樹里の肩に置かれ、くるっと向き直らせる。

向き合う態勢だが、樹里は楓の顔を見ることができないでいた。

(こんな泣き顔…。)

楓の手が俯樹里の顔をくいっと上げる。

「樹里、心配することはない…俺はお前を手放しはしない。」

真剣な眼差しに、樹里はぎゅっと楓に抱きつく。

逞しい胸板に顔を埋め溢れる涙を拭った。

樹里の気持ちが落ち着くのを待って、楓がふと問い掛けてきた。

「しかし、何故俺を信じなかったんだ?」

樹里は、はっとして顔を上げる。

少し不機嫌な顔をしている楓に樹里は慌てて言う。

「違うんです…信じていたんです…。でも…」

また、顔を楓の胸に埋める…。

「旦那様が…触れてくださらなかったから…」

消え入りそうな声で呟く…。

樹里を抱きしめる腕に力が入った。

次の瞬間樹里の身体がふわりと浮いた。

「きゃっ…」

楓が樹里を抱き抱える。

「だっ…旦那様!?」

無言のまま樹里を抱えてベッドの上に寝かされ、そのままキスをした。

それは樹里が求めていた激しいキスだった。

「うぅんっ…ふっぁ…あんんっ…。」

長いキスが終わり、唇が離れると楓はボソリと呟く…。

「すまなかった…。俺はお前を見ているだけで、良かったのだ…そばにいてくれるだけで、毎日が幸せだった。それが、お前を不安にさせていたなんて…。」

いつもはとっても凛々しい楓が樹里だけに見せる顔。

楓は樹里をこんなにも想っていた。

嫉妬に狂って楓を少しでも疑った自分が、樹里は恥ずかしくなった…。

「抱いて下さい…私を…抱いてください。旦那様ぁ…」

楓にしがみつく。

二人はベッドの上で、きつく…きつく抱きしめあった。



「あっあぁん…はぁん…」

鼻にかかる甘い声が響く…。

ベットの中では全裸の二人が絡み合っていた。

「樹里…じゅり…はぁ…はぁっ…。」

熱に犯されたように樹里の名前を呼び続け、体中を愛撫する。

「あぁ…旦那様ぁぁ…」

「樹里…俺の…樹里…。」

胸元をきつく吸われ、肌に紅い跡が付く…。

楓につけてもらった印…。

本当に楓のモノになった感じがして、胸が熱くなる。

楓の唇がどんどん下に向かっていく…。

ついに、樹里のピンと立ち上がった、おちんちんに口づけられた。

「あっあぁぁぁん…はっ恥ずかしいっ…あっん…」

腰をもじもじさせながら、恥じらうが、しっかりと足を押さえ付けられていて、逃れられない。

先から溢れる液を舌で丁寧に嘗め上げられ、なめ回される。

つやつやの先っぽを口に含んで舌で転がす。

「きゃうんんぁぁぁぁん…あぁ…凄いっ…旦那様ぁぁ…。」

初めての感覚に腰が浮き、おちんちんが溶けてしまいそうに感じた。

「樹里…凄い溢れてくる…気持ちいいのだな…。」

首をぶんぶんと縦にふる。

声にならない快感が迫ってくる。

おちんちんを責め立てられ、お尻の方まで液が垂れてびしょびしょになってゆく…。

「ここも、物欲しそうだな…。」

「あぁ…はぁはぁはぁ…旦那様…あんっ…ください…ココにください…はぁはぁ…。」

恥じらいながら、手で少し広げて見せる…。

「いやらしい眺めだな…でも、初めてだから、よく慣らさないとだな…。」

楓は樹里を四つん這いにさせると、尻を鷲掴みにしてお尻の割れ目を広げる。

ぬるっとした舌が樹里のアナルを優しく解してゆく…。

「ああんっあんあん…あっはぁっ…んっ……。」


くちゅくちゅくちゅっ

「可愛いよ…樹里…お前のここは、ピンク色で綺麗だ…。」

「あんんんっ…いやぁぁぁっ…いわなっでくださっいっっ…もうっ…うんんっあっ…。」

シーツを握りしめて、声をあげる。

ちゅっくちゅくちゅくちゅっちゅぱっくちゅ

狭い穴に舌が入り込んでくる。

ふやけてしまうんじゃないかと思うくらい舐め続けられて、我慢が出来なくなる。

「もっ…はぁぁぁっ…もうっ無理ですぅぅっ…旦那様…いれてぇぇぇっっ…。」

「樹里っ!!いくぞっ…。」

いきり立った旦那様のおちんちんがアナルを押し広げて侵入してくる…。

ググググググッ

「いっつぅあっぁぁぁぁぁぁっんんっんんっっ。」

はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ

吐く息が荒くなる。

樹里のアナルは太く大きいおちんちんをゆくっりと根元まで飲み込む。

はじめて男のモノを受け入れたそこは、楓が十分すぎるほど解した為、思っていたより容易く侵入することができた。

だが、やはりぎちぎちの状態だった。

楓は樹里が落ち着くまで、律動を我慢する。

「くっ…きついな…大丈夫か?…。」

どんな時でも、楓は樹里を気遣った。

それに、きゅんっとなる樹里の心と一緒にアナルもきゅんと締まってしまったらしく、楓の顔が歪む…。

「旦那様…はぁはぁっ…私はもう…大丈夫です…はぁっ動いてください…私をめちゃくちゃにしてくださいっっ…。」

その言葉を聞いた楓は堪らず動き出す。

パンパンパンパンパンパンパンッ

よほど我慢していたのか、楓の律動は激しく勢いが衰えない。

「ああっああっあっあっあっ…だっなさま…んんっ…いっいいっ…はぁん…きもちぃぃぃっ…。」

はじめての感覚におかしくなりそうだった。

激しく肉がぶつかり合い、小さな体が揺さぶられる…。

ベッドはギシギシと揺れ、汗と涙で私の顔はびしょびょで、はぁはぁと息をする樹里の唇は楓の熱い口付けでふさがれいる。

「うんっんふっんんっんはっ…うぅぅっんんんっ…だんな…さまぁっ…なにか…はぁあっ…きますぅぅっ、ああっ…くるっ…おちんちんからっ…でちゃいますぅぅっ…。」

とっくに樹里の良いところを探り当てた楓はそこばかり、激しく責めたてる。

樹里は初めてのsexで絶頂を迎えようとしていた。

「旦那様っ…私…あっ…おかしく…なっぁちゃうっん…きゃんんっ…」

お尻の中を目茶苦茶に掻き回されながら、乳首をきつく吸い上げられる…。

「俺も…お前に…狂いそうだっ…樹里…愛してる…。」

愛してる…

その言葉を聞いた瞬間、樹里のおちんちんがカッと熱くなって、奥の方から迫ってきていた快感が一気に爆発した。

「だんなさまぁぁぁぁぁぁぁっ!」

あまりの刺激に意識が遠退く…。

樹里はお尻の奥に熱いモノを感じながら目を閉じた…。



失った意識は、すぐに戻ってきた。

静かに目を開けると、楓が心配そうに樹里を見つめている。

「大丈夫か?すまない、酷くしてしまって…。」

楓が樹里の髪をそっと撫でる。

樹里は、まだ、身体がふわふわしていて落ち着かない。

樹里の腹や胸は白い液で汚れていて、さっきまで楓をくわえ込んでいたお尻からコポッと同じような白い液が出てきていた。

それを見て樹里は、楓も同じ様に感じてくれていた事に嬉しくなった。


「旦那様…嬉しいっ、やっと一つになれて…。」

樹里、はまた、楓にしがみつく。

そして、優しく抱きしめられる。

二人は心も身体も満たされ、抱き合ったまま眠りについていた…。






朝の光りが窓から差し込み二人を照らす。

樹里が眠い目を擦りながら目を覚ますと目の前には楓の寝顔があった。

初めて、楓の寝室で一夜を過ごしてしまった…。

昨夜の事が鮮明に思い出される。

恥ずかしくなって、こっそりとベッドを抜け出そうとすると、いきなり腕を捕まれて引き戻された。

「どこへいくつもりだ?」

「朝の支度を…」

言いかけた、唇をすぐに楓に奪われてしまった。

「うんっ…んっ…」

甘い、甘い、とろけるようなキス…。

その時だった、いきなり部屋のドアが開き、あの女性が入ってきた。

「今日こそ、いい返事もらうわよ!って…」

ヅカヅカと入ってきた女性は二人の姿を見て呆然としている。

楓が固まっている女性に話し掛けた。

「こうゆう事なので、あのお話は断らせていただきます、叔母様。」

おっ叔母様!?

樹里は恥ずかしいやら、なにやらで、暫くパニックだった。

どうやら、樹里がヤキモチを妬いていた女性は楓の叔母で三十路にもなって、嫁も娶らないでいる楓に痺れを切らして、見合い話を持ち掛けていたのだった。

(それにしても、叔母様年齢不詳すぎる…。)

楓の説得で、二人がが真剣に愛し合っている事を知った叔母は渋々引き上げて行った。

帰り際、叔母様が樹里に囁いた

「暫くは、様子を見ます…。あの子を宜しくね…。」


前途多難な愛だけど、二人は今日も幸せいっぱいの日々を過ごしている…。




[2012/05/15 23:28] | 小説・楓・樹里 | トラックバック(0) | コメント(0) |
無口な旦那様
これは、私がこのお屋敷に来たばかりの頃の話…

コンコン

ドアをノックして、これからお世話をする旦那様のお部屋に入った。

ここに来る前に、旦那様は少し変わったお方だと聞いていたが、少しも不安ではなかった。

どんな方であろうと、誠心誠意尽くすのが私の仕事…
こんな私を拾ってくださったのだから…

窓際の大きな机の椅子に腰掛けて、外を眺めている男の人がいた…

こちらに、気付いていないのか、ずっと外を見ている。
私は、挨拶をしなければと、慌ててお辞儀をした。


「今日から、お世話をさせていただきます。樹里と申します。誠心誠意努めさせていただきますので、宜しくお願いいたします。」

挨拶し終えても、旦那様は一言も発さず、こちらを見ようともしなかった。

沈黙が続く…。


私は、何か気に障った事をしたのか不安になったが、旦那様が机に向って、お仕事を始めたので、邪魔にならないよう頭を下げて、部屋を後にした。

嫌われてしまったのかなぁ…。

涙をこらえる。

旦那様…。

ほんの少ししか、お顔を見ることができなかったけれど、旦那様は凛としていて、とても素敵だった。

顔が熱くなるのを感じた…。


これから頑張れば、きっと旦那様も認めて下さる。

私は、そう願った。





次の日から、私は、旦那様の為に頑張った。
朝の身支度に始まり、部屋のお掃除、洋服の整頓、いつも欠かさず飲んでいる、旦那様好みのコーヒーを入れる手順、夜ぐっすり眠れるように、ベッドメイキングも念入りに、アロマも焚いて完璧に仕上げた。

それでも、旦那様は一言も話してはくださらなかった。

何ヶ月か過ぎた頃。

私は、まだ、お屋敷を追い出されることもなく、旦那様のお世話を続けていた。

何度もくじけそうになったが、旦那様に認めてもらいたくて、必死だった…。

私の前任者はそれに耐えられなくなって、何人も辞めていったと聞いた。

旦那様の弟君の薫様は、旦那様は、私を気に入ってくれていると言って励ましてくださった…。

確かに、初めて会ったときに比べれば、時折視線ががあったりする。
多少なりとも、私を見てくれているのだと思うと嬉しかった。

でも…
私は旦那様のお声が聞きたかった。
どんな声をしていらっしゃるのだろう。
願わくば、私の名前を呼んでもらいたい…。
それから、何日か過ぎて、朝目覚めると、なんだか体がダルイ感じがした。

それでも、旦那様付きのメイドは、私しかいないし、他のメイドに旦那様の世話をさせたくなかったので、いつもと同じように、朝の支度を手伝いに向かった。

「旦那様。おはようございます。」

カーテンを開けて、旦那様を起こすと、旦那様はいつもと違った表情をしていた。
というか…表情がある。
いつもは眉ひとつ動かさないのだが、なんだか、困ったような顔だ。

「どうかなさいましたか?」

初めて、こんなに見つめられて、私は胸がドキドキした。

それを悟られたくなくて、ごまかすように朝の支度の準備をする。

それを見た旦那様は、何事もなかったかのように支度をすませ、出て行ってしまった。


夜になると、身体のダルさが増していた。

良くなるどころか、酷くなる一方だった。

あとは、就寝の支度を手伝うだけだ。

あと、少し…

やっとのことで、旦那様のお部屋までやってきた。

旦那様は、もう、着替えを済ませて、ベットに腰かけていた。

今日はもう、お手伝いをすることはなさそうだった。

「旦那様…おやすみな…さっ…」

気を緩めたその時、目の前が歪んで、私は意識を失っていた。





「うっ…んんんっ」

目が覚めると、ふかふかのベッドに横たわっていた。
おでこのあたりが、ひんやりとする。

気持ちいい…。
ここは、どこなんだろう?

そこへ、旦那様が氷枕を手に現れた。

「だっ旦那様。」

慌てて起き上がろうとすると、旦那様が私をゆっくりと、ベットへ押し戻す。

そしてそっと、氷枕を取り換えてくれた。

旦那様に、こんなことをさせてしまうなんて…
申しわけなくて、自分が情けなくて…涙があふれてきた。

それを見た旦那様は、慌てて…

「どうした?苦しいのか?」

低く優しい声…
初めて聞いた旦那様の声に、私はびっくりして、涙が止まってしまった。

「もっと早く休ませてやれば…今朝気づいていたのに…俺の責任だ…。すまない。」

「ちっ違います。私が、私が悪いんです。自己管理ができていなかったんです。」

旦那様は大きく首を振る。

「いや、お前はまだ、幼い。」

優しい、優しい、旦那様の言葉。
嬉しくて、また、涙が溢れてきた。

「泣くな、お前は、悪くない。この、数か月こんな私に…良く尽くしてくれた。私は人が苦手で…話すことも上手くない…。」

旦那様は言葉に詰まりながらも、ゆっくりと話してくれた。

「私…旦那様に嫌われているとばっかり…。」

「嫌ってなどいるものか、ずっとお前を見てきて、俺はお前を…」

えっ…!?

次の瞬間私は、唇を奪われていた。

熱のせいなのか、熱い熱いキスにクラクラする。

「んんっ…だっんな…さま…。」

頭の中が真っ白になっていく。。

「旦那様…風邪がうつってしまいます。」

「かまわない。」

閉じた、唇の間を割って、旦那様の舌が私の口の中に入ってきた。
ねっとりと、口の中を犯されて、トロトロに溶けてしまいそうだった。

やっと、唇が離れる。

「続きは、風邪が治ってからだな、樹里…。」

そう言って、旦那様は微笑んでくれた。

嬉しくて、嬉しくて、涙が頬を伝う。

旦那様の声が聞けて、名前まで呼んでもらった。

そして、旦那様の笑顔を見ることができた。

一日で、180度世界が変わってしまった気分だ。

心が通じ合う喜び。




それから、旦那様は、相変わらず無口だが、私だけに色々な表情を見せてくれる。

そして、ゆっくりと語り合う。


私だけの…旦那様…。





[2012/05/12 23:09] | 小説・楓・樹里 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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